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なかなか、新作をつくらない船場がようやく作った3番目のパエリャ。

彼女は ” 流用 ” を嫌います。メニュー数を増やす為に、牛肉でおいしい料理を鶏肉に置き換えたり、同じ肉でのソース違いなどのいわゆるヴァージョン違いなど絶対に無しなのです。

パエリャも「魚介をふんだんに使ったアロスアバンダが最高なのに、これ以上何を食べたいというの?」と新作を拒んで来ました。「同じ素材を使うのならば今以上のものでなければ駄作。そんなものはカリメロのメニューには載せられない!」と頑固な彼女。

「最近、新作が無いじゃん。」と突っ込めば「大丈夫!ちゃんと寝ながら夢の中で20皿作って来たから。」とふざけた返事。「君は、三年寝太郎のつもりかッ!?」と言いたい私。しかし、これは本当のこと。

彼女は以前も突然、「“白いパエリャ”が作りたい!」と不思議な事を言い出して半日、“ 海藻のパエリャ ” が出来上った。“アロス・ア・バンダ”と同じ海の物なのに、ヴァージョン違いでもなく全く世界感の違うパエリャに驚いた。

彼女曰く「水深が違うの。“アロス・ア・バンダ”はズワイガニとかアンコウとかキンメとかなんか海の深〜いところ、海の森にいる魚や蟹のイメージ。“海藻のパエリャ”は夏の太陽がキラキラした磯辺、海の草原の植物とか貝殻のイメージ。出汁も全く違うからね!。」「ん〜なるほどネ。“白い”は反射光だぁ。なんか岩場に波がぶつかる音が聞こえてきそうだもんネ。」と僕は、遂に出来たパエリャ第2弾に嬉しくて変に調子を合わせてしまった。

それから2年半、今回も突然、「“肉のパエリャ”が作りたくなった!。」と言い出して2時間、あっという間に一発完成。

彼女はつくり始めると一切試行錯誤はしない。良くテレビで見る、味見をしては「ん〜?」としかめっ面を見せるこだわりのシェフとは正反対。恐ろしいくらい途中の味見も一切しない。いつも平然と料理を産み出して来る。

パエリャを店で出し始めたのが2004年、2006年には“カルドソ”が出来、2012年に“海藻のパエリャ”、そして2014年末にこの“肉パエ”、この調子でスタンスが短くなってくれるといいんだけれど・・・。 

2014年11月吉日 大八

 

にんにくとセージで煮込んだ宮崎・日向鶏のパエリャ

Paella de guiso de pollo con  ajo y salvia

 

健康的な宮崎産鶏もも肉をにんにくとセージをたっぷりと使って柔らかく煮込み、その後サフランを贅沢に使ってパエリァに仕上げます。魚沼産コシヒカリ米に浸みる鶏のエッセンス、セージ、サフランの相性は抜群です。

セージの原産は地中海沿岸で抗酸化作用が高く古代ローマ時代から免疫を助ける薬として、また鎮静を促すお茶として親しまれています。イタリア伝統料理の“サルティン・ボッカ”に欠かせないハーブとして有名ですね。しかし同じ地中海の国でありながらスペインではこのセージの風味を前面に活かした料理は今までお目にかかった事はありません。創作料理でありながら伝統様式に背く事のない、新しい味が出来上がったと思います。どうぞ、沢山にんにくを食べて良い晩にお召し上がり下さい。

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